毎年8月初旬,我が部は市職員(+α)を対象として蒲郡ヨットハーバーでヨット教室を開きますが,これに参加してヨットを体験したことがきっかけとなって入部したという部員もかなりいます.
 参加費は県艇レンタル料+昼食代で5,000円.
(安いナ〜,もっとも昼メシはカレーライスで,我々インストラクターの分も入っています.---「これが日当もぅちょっとイィもん食わせてくれヨ」
 使用したシャックル回しはそのままおみやげネ)


Fig1.まず,艤装.
 "ああやって,こうやって"

Fig2.さぁ,出艇じゃ,ジブシート引け〜
 "オィ,ちょっと,待て待て,ティラーメインシート絡んどるガヤ,なおさんと"
  ---こういうドジもたまにはあります.



ヨット教室で,ヨット初めての二人を指導
 少々慣れてきたところで,ティラーも生徒に任せ,小生はバウに座りスターン側を向いて指示していました.
と,急に生徒二人とも前方を指差して「アッ,アッ」,「なんじゃ?」と振り向くと目前に他の艇が.
「ウワッ!!」と必死で上半身を伸ばしてティラーを払うように舵を切りましたが間に合わず,かなりの勢いでゴーンと衝突.(船にはブレーキというものがない・・・で,ヨットは急に停まれない)
 相手の損傷はかなり大きく,非権利艇のこちらはワルイ,ゴメンの平謝り.


Fig3"ハイ,ポーズ"もいいけどヨゥ,
 周りもちゃんと見とかなあかんデ.
 海は広いようで案外狭いんやから

 その後,上陸してお話し合いとなりましたが,衝突相手の学生は権利艇であることをたてに全面的に近い負担を求めてきます.で,こちらもプッツン---「三人乗りだしョ走り方見りゃぁド素人ってわかるはずヤ,それにスターボーの声もないということはこちらを見てなかったということやないか.ン?三人とも聞いてへんワイ.相手に聞こえんような声はかけたことにならへん」
 それでも,相手艇のティラーを握ってた学生はふてくされたような態度で納得しない様子でしたが,相棒のクルーが「七-三でしょうがない」と説得していました.

 交渉が済んで,生徒二人に「アッアッと指差す暇あったら何とかなるやろ おまえら車運転しててぶつかりそうになってもハンドル切らずにアッアッか,アホッ!!」.二人はシューン.
 しかしながら,これは八つ当たりってヤツです.この事故はインストラクターである小生が自ら率先してくだらない雑談と冗談で周囲への注意を怠り,怠らせたことが原因で,全面的に私の責任であります.

 ごめんナ,お二人さん.謝って"マァ飲めや"とやりたかったのですが,このお客さんお二人はヨット部に縁がありませんでした.

Fig.ヨット教室本部艇
 ヨット教室はしろうと衆のド初心者が対象なので,万一に備えてレスキュー役の本部艇を用意します.
 で,そのためにヨット部OBグループ所有のクルーザー"美州"を母港の鬼崎YHから知多半島南端の師崎を経て蒲郡まで半日かけて回航します.
 ところがスクール当日,その美州のデッキ上ではインストラクターを若手に任せた古狸の連中が前夜の大宴会からの続きのごとくビアパーティで盛り上がっていて,スクール参加艇の監視なんか誰〜もというイイコロ加減さ.


名前を忘れたある新人の場合
 我が部のヨット練習の時の服装は,夏は着古したTシャツと短パン(特にゴム部分が潮水の塩分ですぐへたるのでいいのは着ない)で,寒くなると長ものに替えてさらにヨット用カッパを着ることもあります.

 ところが初めての練習の時から,上から下までブランドものでビチっと決めて来た新入部員がいました.
 彼はやる気十分のようでしたが,運悪く最初の時またその次もと続けてチンを経験してご自慢のブランド上下もずぶぬれになってしまいました.
 そして,しばらく休部することを申し出,結局そのまま・・・

 ヨット教室を経験していればこういうこともなかったのでしょうが,今にしてみれば,「映画やTVの"海の若大将"とウチらのヨット部とはかなりちゃうデ」ということを,彼の入部時に一言説明しておけば良かったナと思っています.(実際にはかなりというより全然・・・)

敏クンの場合
 ヨット教室に参加して「ヨットに初めて乗ってセーリングの醍醐味を体験したことが入部動機となった」と言う,敏クンは相撲部のほうが似合うような体格です.
 彼は入部間もないヨット部創立10周年記念パーティでは場違いの蝶ネクタイ正装姿で現れて,ボーイさんと間違われ飲み物を運ばされていました.
「ダンスパーティみたいなもんと思った.皆あんなラフな格好で来るとは知らんかった」とブツブツ.クラブの雰囲気で見当がつきそうなものですが.

 その敏クンと乗ったときのこと,
 艇に水がたまったので排出するため「ベーラ開けてくれぇ」と指示しました.彼は身をかがめてゴソゴソやっていましたが「固いな〜」.小生は単に金属部分の動きが悪くなっているだけと思ったので「足でグッとやれ,遠慮せんと」.敏クンは「そいじゃ」.
 しかし,メリメリッと鈍い音が・・・
 「?なんだ」と覗き込むと,「エェッ!?
 ベーラーにストッパーが効かせてあった(だから開かないのが当然)のが,敏クンがそのコンマ1トンの全体重をかけてそのまま一気に踏み込んだので,船底の部材が耐え切れずひびが入った音でした.

 このアクシデントは"敏クンの船底踏み抜き事件"として大きな話題となり,クラブの歴史に残ることとなりました.
 そして,世代が替わり一昔も前の話となった現在でも酒の席で話題に上ることがありますが,その度に彼は「あれは川浪サンが思い切ってやれって言ったから.ボクはそれにただ従っただけ」と口をとがらせてインストラクター&スキッパーの小生に責任を押し付けます.

 そうです.間違いありません.あれは小生がベーラーの状態を確認しなかったことが大きな基本的ミスであって,そして敏クンの無に近い注意力,さらにそのヘビー級ウェイトをなんら考慮しなかった私メの重過失であります.
 しかし,この事件が契機となって,我がヨット部の壊し屋No.1の座は小生から敏クンにお譲りすることとなりました.

 [余談そのなま焼肉事件]
 蒲郡ハーバーでの夕食に,よく行った焼肉屋は油煙がそっこらじゅうに染み付いたような汚い店でしたが,一度バカ明の照夫クンがなま焼肉を食べ過ぎてダウンし,翌日のヨットどころか車の運転もできず,自分の車の後ろ席でグタ〜となって名古屋まで運ばれたことがあります.
「焼き過ぎたらまずい」なんて聞いた風なことぬかしやがって・・・ 本音は”焼けるまで待ってたら遅れをとってしまう”というとこでしょう.
 この事件も,"食い意地もほどほどに"という貴い教訓付きでクラブの歴史に残っています.
 この汚い焼肉屋はその後,きれいに改装してファミリー客は増えたようですが,あまりうまいと思わなくなりました.

 [余談そのEye Contact]
 県営・蒲郡ヨットハーバーの宿泊所はユースホステルのような二段ベッドで,飲酒厳禁,自衛隊・体験入隊みたいに毛布のたたみ方の厳しいチェックが毎朝ありました.
 しかし,安いので東京の大学ヨット部まで合宿に利用していたし,我々貧乏クラブもよくお世話になりました.ただ,当然のことながらクーラーもないので真夏は海岸で波の音を聞きながら寝ていたことも.
 当時,ハーバー近くの民家にセントバーナードの老犬がいました.
 合宿の時,いつもの焼肉屋で夕食をすませてハーバーへ戻る途中に,「この家にものすご〜でっかい犬がいてるデ」と言いながら石塀の模様穴のとこから覗くと,彼も後ろ足立ちでこちらを覗いていて鉢合わせの急接近.「ワッ!!
 向こうも驚いたかもしれませんが,びっくりしていっぺんに酔いが醒めてしまった分,こちらが損こいた〜


 記:Nov.-1992