アンカー
 錨のことです.ディンギーにもチンケなアンカーがついていて,ハーバー規則やレース規則で積むことが必要とされることもあります.
 クルーザーは男1〜2人でなんとか引き上げられる程度のアンカーを(予備を含め)2本は備えています.
 海底の岩やロープをひっかけて引き上げに苦労するようなこともたまにはあります.
 名古屋港内でどうしても上げることができず,エンジンの力を借りても動かず,ウィンチで巻き上げようとすると艇体が沈んでいく〜泣く泣くアンカーロープを切った経験があります.---クソッ2万円損こいた〜.

 つい最近鳥羽へ行った時のこと,やっと引き上げたアンカーに古いロープが絡んでいて,そのロープに釣り針や釣り糸がいっぱい絡んでいました.
 "美州"のもやいロープに釣り針が引っ掛かっていて痛い思いをすることもあります.年に二度あるヨットクラブのハーバー大掃除でも釣り道具やエサのビニール袋のゴミが多いし(他にもスーパーの袋等は?),釣り愛好家の皆さん,マナーを守りましょうネ.

 ジャイビング(ジャイブ)
 風下に向かって走るとき,右舷側から左舷側,あるいはその逆のように風を受ける方向を変えることをいい,風上に向かって走る場合の方向転換=タッキングと対になる言葉です.
 強風下では艇の安定を保つのが難しいので,安全策で一旦風上に向けタッキングで艇を一回転させて風下への方向転換をする方法もとられます.レース時には先行艇のチンを見てビビッた後続艇がこうなります.タイム的には当然ロスですが,急がば回れっていうから・・・
 風向の急変化あるいは乗員の操作ミスで,意図せずジャイブすることをワイルド・ジャイブといい,ワイルド・ジャイブによる急激なブーム移動で殴られることをブーム・パンチといいます.
 ヨットを10年もやってるとたいてい数発のパンチは喰らいますが,程度によっては大きな事故にもなる大変危険なものです.

 シャックル
 セールやワイヤー,ロープ,チェーンをつなぐためのU字型金具で,開口部をネジまたはピンでとめます.このネジを回すツールがシャックル回し,これはヨット乗りの必携品です.
 ディンギーに乗るときはシャックル回し,予備シャックル,シーナイフをまとめたロープを首からぶら下げています.ナイフは重くてじゃまなのですが,東京湾で死ぬ思いをしてから持つようになりました.

 スキッパーとクルー
 クルーザーでは艇長=キャプテンをスキッパーといいます.
 ディンギーではティラー(舵棒)とメンスル(主帆)を操るのがスキッパーで,ジブ(前帆)を操るのがクルーです.
 レース中にスキッパーとクルーがけんか状態となると・・・順位がスイスイ下がってきます.
 けんかはタクティクス(戦略のことデス)やコース選択の考えの相違等で起こります.
 レース中にスキッパーとクルーのけんかが極限状態となって,クルーが「どけっ,オレがやる」とティラーをとりあげてしまったなんてぉ話も・・・

 小生はヨットではありませんが,テニスでダブルスの相棒とよくそういう状態になるので,逆転勝ちの憶えはとんとなく,逆転負けは数知れず.But,「別れようゼ」という話しにはなっても,腐れ縁というのはそう簡単に切れるものではありません.

 スターボードとポート
 スターボード=右舷,ポート=左舷.
 船首に向かって右手の右舷側から風を受けて帆走する状態をスターボードタックといい,左舷側から風を受けるポートタックの艇に対し進路の優先権があるので,ヨットレースで2艇が行き会う場合「スターボー」と叫んで自艇の優先を主張します.
(ヨットマンはこの習性のため,互いの主張が対立する場面では相手を黙らすために「スターボー」とどなります.---ウソ,ウソ

 スターン
 船尾のこと.対する船首はバウ
 船の後進は「バックオーライ」ではなく「ゴースターン:Go Stern」です.短くゴスタンとなることもあります.
 前進は"ゴーアヘッド:Go Ahead".

 我が家では車のバック誘導も「ゴースターン」と声をかけます.
 それを愚息の学友連中も憶えてしまい,テニス仲間のガキども--じゃない,子息を愛車(8人乗りワゴン)に満載した時なんかバックする度に,かわいい声(わけない,甲高い声でうるさいだけ)で「ゴースターン,ゴースターン」の大合唱.後ろは?誰も見ちゃいない.

 センターボード,キール
 風上に向かって帆走するとき艇の横流れを防ぐ目的で船底から突き出した,アルミ製,あるいは木製,FRP(強化プラスチック)製の板です.
 ディンギーの場合は着脱式で上下してその効果を調節しますが,クルーザーは小型艇を除き,固定式でキールと呼ばれます.これは金属製でバラストを兼ねているので,なんらかの事故でこれを失うことは致命的です.(艇重量の1/3程度."美州"クラスで1トン超える)
 また,これがあるために座礁の危険からボートのように浅い所へは近づけません.(水深2m近くは必要

 タッキング(タック)
 ヨットは風上に向かってまともには走れないので,斜め上方にジグザグに上って行きます.---Max.40度くらいの角度でこの帆走の状態をクローズホールドという.
 タッキングとはこのとき風を受ける舷を変えて方向転換することで,通常はタックといいます.
 レースは,"スタート"とともにこの"上り帆走のテクニック"の優劣が勝敗の大きな要素になります.
 ヨットが風に直面した状態(当然のことながらそのままでは後退するだけ)からクローズホールドに戻して走り出すテクニックを波舵といいます.
 また,セールと舵の操作で艇を一ところにとどめるテクニックをヒーブツー(うずくまるの意)といいます.
 ---アンカー使えばえぇやんか?まぁそうですけどネ,アンカーの上げ下げより手軽ですから.
* たとえ45度程度とはいえ,ヨットが風上に切り上がって行ける理由は"ベルヌーイの定理"とベクトル,三角関数を用いて説明しますが,ちと面倒なので別の機会に・・・
 エッ,説明できんのやろ?イェそんなことありまへん,ホンマです.

 チン(沈)
 ヨットが転覆することです.言葉からの連想と違って沈没ではありません.180度ひっくり返った状態をカンチン(完沈)といいます.
 このチンの状態から立て直すチン起こし(A-Videoのタイトルとはまったくなんの関係も・・・)にはそれなりのテクニックを要し,強風下で何度も繰り返すと極端に体力を消耗します.
 水深の浅い所で完沈するとマストが海底に刺さってしまうので,これを防止するために発砲スチロールやゴム製の浮力体をマストトップに結びつけることがあります.我がヨット部はあまりやりません.---チンさせないという自信からではなく,単にメンドイからというだけ.
 チンで艇外に放り出された時,コンタクトレンズを失ったアホな部員もいます.(気を付けましょうネ,コンタクトの時は水中で眼をあけないように)

 ディンギーとクルーザー
 ヨットとはもともと遊びに用いる船のことです.英国王室ヨットの"ブリタニア号"は5千トンの汽船で,'97香港中国返還の際に来日し名古屋港へもちょっと寄道しました.---「ヘェ〜これもヨット〜?」
 しかし,通常はセールを有するいわゆる帆船を指すことが多いようです.
 われわれは宿泊設備や炊事設備を有し,外洋航行も可能な25フィート(ヨットの大きさは艇長サをフィートで表す.1feet=0.3m)程度以上の中・大型のヨットをクルーザー,そして1〜3人乗り程度のキャビン無し内海用小型ヨットをディンギーと称し,使い分けています.
SNIPE  
 ヨットレースは艇種別で行われ,一人乗りディンギーの艇種としてOPレーザー,シーホッパー,二人乗りディンギーとしてFJ,スナイプ,470があります.我が部はスナイプを使用しています.
 クルーザーのレースの場合はレーティングといって,水線長,セール面積,排水量,船齢等で換算したハンディをつけます.
 また,一定レーティングの規格内で設計された艇によるレベルレースもあり,近年"日本チャレンジ"により一般に知られるようになったアメリカスカップはこれに当たり,一対一で競うマッチレースです.
(日本チャレンジをニッチャレと略する人もいます.芸能関係の業界用語かと思った---あれはジャリタレ

 テンダー
 海上係留のクルーザーと岸との渡しに利用する小型ボートのことです.(公園の池の貸しボート*を小さくしたようなもの)
 テンダーは,安定が良くないので乗るにはそれなりの気配りを必要とします.バランスをくずすと一気に浸水して転覆することも.夏はどうってことありませんが,寒い季節は辛い思いをします.
 本当にちょっとした油断やドジであっという間の転覆,水舟となります.で,是非もなしの着衣水泳となるのですが,泳ぎながら"あぁ,人生一寸さきは何が起こるかわからんナァ"ということを実感します.(仲間は陸かヨットの上から眺めて喜んでいるだけ)

* 冬12月,貸しボートに乗ったことがあります.寒かったので上着を愚妻に貸してずっと漕ぎまくっていました.どんな男も結婚前は優しい.今だったら・・・「漕いだらあったかくなる,替わったろぅか」
 上がる時に「オレ,こんな頃乗ったの初めてゃ.ローマ軍船の奴隷みたいやったなぁ,マメできたガャ」,ボート屋のオヤジも「うん,この時季のお客さんはそぅいないねぇ」

 愚息兄弟+その友人のチビッ子三人が乗っていて水舟になったことがありました.
 水がドッと入ってきて「ゥワッ」と大きな声をあげたので,岸にいた若いのが(水着に近い格好ではありましたが,)緊急事態とみたか,すぐに飛び込んで助けに向かいました.
 ところが子供たちに緊迫感は全然なく,「泳ごうか〜全部濡れたから」.
 "美州"からながめていたこちらも「だっから水着に替えろって言ったヤロ」とヘラヘラ.---"なんだ,こりゃ".勇敢な若者には丁寧にお礼を述べました.

 食料買出しから艇に戻る時の転覆,水舟もありました.
 缶ビールやラップ包みの食料が浮いている間を着衣水泳で執念の回収作業.
「全部拾い上げたゾ〜けど,なんか足らんなぁ,アッ,3合ビンが見あたらん.沈んだか〜しょうがない,アサリはビール蒸しにしよぅ」

 バウ
 船首のことです.船首からのもやいロープがバウライン
 クルーザーの船首部天井窓はバウハッチ.通常はこの下にトイレがあります.
 人がバウハッチから頭をつき出したとこは"もぐらたたき"を連想させるのでプラスチックトンカチでぶん殴ったろぅという気になります.---ボクだけ?
 バウに対する船尾はスターンです.

 トイレに関しては,男は大体スターンからの立ちションです.女性の場合もぉ尻を突き出して座りションでも一向に構いませんが,「狭苦しいキャビンよりもこっちが爽快だョ〜 みんな前向いとくから」と勧めても応じたゲストはまだいません.
 しかし,艇が大きくヒールしたなかではどうしても出せないという方もいらっしゃいます.かといって貯めておくにも限度ってもんがありますからやむをえず座ったままの・・・ が,こういう時は波がデッキを洗うほどなので,あっち向いて黙ってやって知らんぷりしてれば分からずじまいです.
 自分の場合は逆立ちのままでも立ち泳ぎしながらでもOKなので,"出したいのに出ない"というのがよくわかりません.
(逆立ちションのほうはウソ,ウソ,---やったことありまへん.最近は身が重くなり倒立ができなくなったので,試す機会も無し)

 ヒール,ハイクアウト
 ヒールとは横風を受けた帆走で艇が風下側に傾くことです.
 過度のヒールセンターボードの横流れ防止効果を減殺し艇の前進力にとってマイナスとなるので,乗員がバランスをとって艇の姿勢を水平に近づけるように"起こす"必要があります.このため上半身をそっくり返すようにして艇外に乗り出しますが,これをハイクアウトといいます.
(これはスナイプの場合で,艇種によってはクルーがトラピーズというワイヤーをベルトに付けて全身を乗り出すものもあります.)
 強風下長時間のハイクアウトにはかなりの筋力を必要とします.つまり,強風時は重量級が有利ですが,これも体重を支える腹筋が軟弱では役に立ちません.---単なるバラスト?
 このハイクアウト時,足を支持するため足首をひっかけるベルトをフットベルトorハイキングストラップといいますが,このベルトが切れたら・・・当然,後ろ向きに落水します.(古くなると交換するので切れたことはありませんが,引っかけそこなって落ちたというドジは,あります.)

 クルーザーの写真を見るとよく乗員が電線のスズメのように皆揃って片舷に座っていますが,あれも同じ理由です.別にこちらが景色がいいからとか写真を撮るからというわけではありません.
 セール展開側の風下に座っている乗員は=ワッチ(見張り,レース時は敵艇監視)かまたはゲロゲロやってるお客さんです.セールを張っていなかったら=関係ありません.皆でこちらを眺めているだけです.

 ブーム,グースネック
 メインセールを操るための,マストの横に取り付けられる帆桁のことです.つまり,メインセールは三角形の前辺をマストに,下辺をブームに付けて張られます.
 マストとブームの接合部の金具がグースネック(ガチョウの首の意)です.

 ベーラー
 本来は艇内にたまったあか(水)をくみ出す用具のことですが,通常はディンギーの船底についているセルフベーラーのことを指します.これは"ベルヌーイの定理"により生じる負圧を利用して水を艇外より吸引し排出するものです.
 流体に働く力ですから一定以上の艇速を必要とし,艇が停まっている時開けていたら・・・水が入ってくるだけです.

 横浜・八景島での'96全日本自治体職員ヨットレースの時のこと,東大ヨット部から借用(チャーター艇の割当てはレースの公平を図るため抽選による.セールだけ自前)した艇の喫水下両船腹にベーラーが付いているのを見て「アレッ! ベーラー,横っ腹に付いとるガヤ」,すると若いのが「古いナ〜」.
 数分後,"美州"仲間が全く同じ発言をして同じく「古いナ〜」.
やっぱ東京,横浜は進んでる〜と思いましたが,ボクらが遅れているだけでした)

 マスト,ステイ
 マストがわからない人はあまりいないでしょう.マストは船首部のフォアステイと,左右サイドステイ計3本のワイヤーで支持されます.
 マストの高さは,二人乗りディンギーで6〜7m,"美州"では約14mあります.
 組立式のディンギーではマストトップのトラブルも倒して対処できるのでどうってことありませんが,クルーザーでは・・・かなり面倒です

 メンスルとジブ,シート
 主帆:メインセールを縮めてメンスルといいます.
 一人乗りディンギーは通常メンスル1枚のみですが,その他は前帆:ジブも有しています.ジブセールとは言ってもジブスルと言う人はあまりいないようです.
 強風下で,オーバーヒールを防ぐためメンスルを縮めて小さくする操作をリーフ:縮帆といい,一段階,二段階リーフをそれぞれワンポン(1point)リーフ,ツーポンリーフといいます.
 セールを操るロープがシートで,それぞれメインシートジブシートとなります.

 セールはこの他に,追い風専用のスピンネーカーがあります.(艇前部に大きく張ったカラフルな袋状のセール)
 "美州"ではクルーの頭数が揃うことがあまりないし(ゲストは数のうちに入らない),展開が面倒なのでこのスピンを張ることはめったにありません.セールは袋に入れてバウスペースに収納されますが,スピンはここ数年奥深く眠ったままです.(したがってスピン展開の写真は1枚もなし.どんなデザインだったか忘れてしまったナ〜 「売っ払ってビール代にしたろぅか」というような話も時々でます)

 ラダー,ティラー
 ラダーは舵のこと.ティラーはそれを操る舵棒のことです.
 ティラーには操作可能範囲を拡げるためにエクステンション・ティラーが付いています.---クルーザーではゲストから「これなに?」という質問をよく受けますが,その時はゴチャゴチャ説明するより実演して見せれば一発了解.
ティラーは大型艇では舵輪:ラットとなります.ラットは"太陽がいっぱい =>アラン・ドロン =>キャ〜カッコイ〜"のイメージで見てくれは申し分なく,サマになるのですが,ティラーに比べると操作性がイマ一・・・
 別に負け惜しみだけではありません.陸上に例えると自動車のハンドルより自転車のハンドルのほうが直接的で反応が良いのと同じ理屈で当然と言えば当然です.もっとも,最近の車はほとんどパワーステアリングとなって軽く操作性も良くなっているように,ヨットももっと大型となると・・・ やめとこう,ボクらみたいな堅気の公務員にとっては夢の世界ダ.
 ところで,ウチの愚息は二人ともいつまでたってもこのラダーとティラーが区別できません.---知恵遅れかもしれん.

 ロープワーク
 ロープや紐の結び方のことです.ヨットを運行する際にロープワークは非常に大切で,セールの操作,錨泊,係留など多くの場面で必要となります.
 手早く結べて,使用中はほどけにくい.しかし,ほどく時には容易であることが基本になります.
 帝国海軍中尉のじっさまはケッサクジュツ(結索術)と言います.ぅ〜ん,なるほど〜


 



ヨット歴たかだか20年足らず,クルーザー10年のキャリアという未熟者で,
しかもシビアな学生ヨット部を経験していない,かなりいいころ加減なヨット・ライフでありますので,用語の定義におかしい個所や誤解があるかもしれません.
 お気付きになられました方は,
or