けど,たまには獲れすぎた魚をもらったというような話も聞くし,ウチのカミさんも"サイズが不揃いで売り物にならん"というアサリをどっちゃりもらったこともあるからナ〜,それに万一SOSの場合は互いに助け,助けられる海の男なんやからこれ以上言わんとこ.
また,外部からだけでなく内部的批判にさらされることも・・・
つまり,同じカネ食い虫であっても大きな荷物の買い物や家族揃っての外出時,特に子供が小さい間など大いに有用な車と比べて「ヨットなんてナ〜ンの役にも立たない」というわけです.
しかし,これは酒とメシ,プールと風呂を比べるようなもので,趣味のモノを実用品と同列に比較すること自体,おかしいと思うのでありますが・・・
陸(オカ)酔い
ヨットに2,3日以上乗り続けていると,世の中揺れているのが正常という感覚になって,しゃばに戻っても"大地は動いてるナァ,やっぱり地動説は正しい"とガリレオ・ガリレイの偉大さを再認識することになります.
机の上もパソコン画面も揺れていて船酔い状態が続くので普段にも増して頭が働かず,とても仕事になりません.
で,やむを得ずいつもより少々早めのテニス&遅めの昼メシ&長めのお昼寝・・・ そして,"まぁ,明日から頑張ればえぇガャ,誰でも不調な時はしょうがないんやから"と自分に言い聞かせながら,五時から男のサヨ〜ナラ.
(我が家へ帰り着く頃には,スッキリさわやか「ただいま〜」.But,明るいうちの帰館で迎えてくれるのは愛妻の笑顔ならぬ愚妻の迷惑顔+非難口調の一言「早いのねぇ」)
落とし物 & 拾い物
通常,ヨットの回りは全部海です.で,落とし物はすぐ沈んでしまってハイ,オシマイという悲劇が時々起こります.
ディンギーに乗る場合は余分な物はあまり持ってませんが,それでも身に付けたもの,特にメガネを落とす失敗は多いので我々はヒモ(ファッショナブルなものではない,そのへんにあったやつ)で後ろを結び付けています.帽子もまたヒモを付けて洗濯ばさみでシャツにとめます.(強風下のクルーザーで洗濯ばさみごとブッ飛ばされて失ったことが何度か・・・浮いてるんだから戻って拾えば良さそうなものですが,強風時はUターンも容易ではなく波ですぐに見失います)
また,クルーザーでは備品や工具の落とし物が多く,食器をまとめて捨てた(洗剤の泡で透明なガラスコップや皿の存在に気付かず,バケツの水ごと勢いよくぶちまけた)なんてのもいますが,サイフや車のキーを落として泣くかわいそうなドジ太郎もいます.
で,クルーザーのエンジンキーには浮力のあるキーホルダーを付けます.
小生もシャックルやプライヤー,鍋のフタなどちょっとしたドジで失った落とし物は数々ありますが,それらを全部足してもおツリがくる1万円札という拾い物も・・・
ハーバー内で漂っているのを見つけ,「ちょっ! タモ,タモ」とキャビン内に声をかけました.「何落としたん?」,「イャ,お札浮いとんネン」.
仲間は本気にしませんでしたがすくい上げて「ホレ,ホレ」,「オッ!万札や〜」.
数人で騒いでいた隣の艇から「発見はこちらが早かったから半分よこせ」と声が掛かりましたが,「いゃ,すくい上げるという労力を惜しまんかったほうのもんヨ」
そのお札は乾かして水上警察署に届けました. ----んなわけ,ないない,美州グループにはそんな非常識なクソマジメ堅物の模範的公務員は一人もいません."心広い海から貧しきヨットマンへのお恵み物"という勝手な解釈で,「今度クルージングのビール代にしたろぅ」と即まとまって,それまでは四国讃岐・金毘羅宮のお守り札と並んで船内を飾るインテリアとなりました.
その他にも琵琶湖の湖岸ではデカいフェンダー*を拾いました.
名古屋までもって帰る車中では人間一人分のスペースをとるオジャマ虫でしたが,美州の仲間達,特に拾い物再利用が得意で"ヨット乞食"の異称を持つ水野氏は大喜びでした.
* 岸壁や桟橋あるいは他船と接舷する際に船体を保護するための防舷材
機走,帆走,機帆走

クルーザーは出入港時等の艇のコントロールを主な目的として補助的なエンジンを積んでいます.
セールをフルに展開して風をめいっぱい受けて走る帆走がヨットらしいし,自然を相手に"遊んでる〜"の実感があって快適なのですが,風が無い時や弱い時はセールを降ろしてエンジンの機械力に頼るしかありません.これが機走で,セールを張りながらもエンジン回してペラの推進力も借りて走るのが機帆走です.
[機関故障!]
モーターボートはエンジンがいかれたり,燃料が切れたらお手上げです.海の上ではJAFもきてくれないし,ガソリンスタンドまで歩いてポリタンクに燃料買ってくるというわけにもいきません.
が,ヨットは乗り手さえ揃っていたらどうにでもなります.一日中ずっと無風状態ということはまずありませんから.
一度,蒲郡ヨットハーバーでエンジン故障の27フィート級が入港してくるのを見ました.
ヘルム(操舵)とセール操作3名でワァワァ言いながらなんとか着艇しましたが,なかなかの見ものでした.他に4名ほど乗っていましたが,座ったままポケ〜(大変なことはわかっても何やればいいかわからないお客さんではどうしようもないもんネ)
ゲスト=ヨットのお客さん
非常時には,ヨットに素人のお客さんはな〜んの役にも立ちません.
つまり「よしっ手伝ったろぅ」と意気込んでもこちらの指示が理解できないのでは戦力になり得ず,"半人前でも二人あわせりゃ一人前"というほど単純なものでもありません.平時であれば説明しながらということも可能ですが.
しかし,かと言って「エ〜イ,クソッ!じゃまにしかならん」と放り出すことなど人道上許されるはずもありません.ン?捨てることもできないんじゃぉ荷物どころか石コロより始末が悪い?そこまで言っちゃぁ言い過ぎってもんです.
抗議,規則,権利艇
帆走時に複数のヨットがミィーティングした場合,スターボードタックはポートタックに対して,風下艇は風上艇に対して優先権を有するというように権利・非権利の関係が定められています.
レース時にこのルール違反により進路を妨害された場合,権利艇はレース委員会に設けられる審判機関(ジャッジ)にその主張を訴えた抗議書を提出して審問を受けることができます.
接触,衝突の場合における艇破損の賠償については当事者同士の話し合いによりますが,原則として非権利艇7:権利艇3の割合です.
非権利艇側のルール違反にもかかわらず権利艇の分担割合が意外と重いようですが,非常の場合は権利,非権利にかかわらず衝突を避けるべく双方に最善の努力が要求される,---つまり,緊急事態においてはルールを超越して当事者全てが最悪の結果発生を避けるべく行動する義務を負うという考えからです.
[逃げるが勝ち]
ヨットも機走の場合は動力船となりますが,海上衝突予防法では相手の船を右に見るほうが避航船(面舵−右転・汽笛信号は短音1発−で相手船を避ける.汽笛信号短音2発の左転は緊急避難的)で,相手を左に見る船が保持船(針路,速度を保持する.やむをえず避ける場合は右転)と定められ,正面からの場合は車と逆の右側通行となります.
死者30名をだした'88年7月23日の"なだしお事件"では自衛隊潜水艦なだしおの避航動作の遅れと釣り船第一富士丸の衝突直前の左転とが問題となりましたが,小生はその翌24日日曜日,この"なだしお事件"と全く同じ場面に遭遇しました.
この日名古屋港でボート天国が開催されていました.小生はレスキューボートのヘルム(操舵手)を務めていたのですが,左からほぼ直角でカッターをひいた巡視艇が近づいてきてその見る角度がほとんど変わりません.(相手を見る方位に変化がないということは,そのまま進むと衝突するヨ!ということを意味する.)
"ワッ,なだしおと同じダ,ルールはどうでもえぇ,意地張らんと早く逃げよぅ"と思ったところで,相手巡視艇がクィッと右転しました.
---あの巡視艇も"ワッ,富士丸ダ,近づいたらアカン"と思ったかな.
磁石=コンパス
霧や雨,場合によっては星も見えない夜で方向がわからなくなることがあります.
そういう時,頼りにするのがコンパスです.また,陸地や灯台が見えている場合でも針路確認にコンパスは不可欠です.
美州は固定式を2個とハンディコンパスを積んでいます.
また,濃霧で回りの視界がきかないときは,アルミ板を組み合わせたレーダーリフレクターをマストに掲げます.しかし,他船のレーダーでこちらの存在を認めてもらおうという受け身的な考えですから不安は拭えません.---"大丈夫やろぅか,あんなもんで"
[コンパス違い]
長男:SHOが車のフロントガラスに吸盤で付けた小型コンパスを指して「これちょっと貸して」と言うので,別に気にもせず,「えぇヨ」.
ところが,翌々日夕食時,「"先生がコンパス持っておいで"って言ったからあれ持ってったら,"これ,なに?"って」.「アッ!そうか〜他の子はどうだった?」,「違うの持ってきた」.
愚妻:「ヨットもいいけどネ算数や国語も少しは教えてョ」
ブレーキ
一概に,船にはブレーキというものがありません.
で,急停止させるためにはゴースターン(後進)で,ペラ(スクリュー)を逆回転させます.
しかし,惰性でかなり前進するので,ヨットに不慣れな人はペラの回転を止めるとすぐに停止するモーターボートと同様の感覚で"ゴースターン"のタイミングが遅れ,岸壁やポンツーン(桟橋)に衝突という事故を招くことがあります.
巨大なタンカーともなるとフルパワーのゴースターンでもKm単位で前進するそうです.
風だけが動力のディンギーの場合はシートを緩めてセールに受ける風を逃がす,風位に立てて(船首を風上に向ける)行き足をなくすという方法で止めます.
無免許運転,飲酒運転
機走に関して必要となる小型船舶操縦士免許については,免許所持者が同乗していればOKで,ヘルム(操舵手)自身が免許を有していることを必要としません.---責任は当然免許所持者
したがって,愚息には早くからティラー操作を教えていました.しかし,ガキの場合は性格の差がもろにあらわれるようで,弟のJUNは"目標,野間燈台"とか"針路,西270度"と指示するとかなりそれを守って走らせるのですが,兄のSHOは5分もするとフラフラして方向が定まらなくなります.同じタネのはずなのに・・・
また,ヨットでは車と違って飲酒運転は問題ありません.(もちろん,事故を起こして飲酒の影響があったと認められる場合は,一般的な注意義務違反としてその点を追求され責任を問われることになるでしょうが・・・)
ついでに海の上には,速度規制がないのでスピード違反もありません.
[ボクもやるっ!]
SHOにエンジン操作スイッチ,スロットルレバーについて説明していた時のこと,JUNも側で一緒に聞いていました.
"それじゃ,実際にやってみよ〜"とスイッチを一つ一つ指してSHOがエンジンをかけると・・・かかると同時にグァ〜ンとエンジン回転急上昇.
"なっなんじゃ?"とコックピットを見るとJUNがスロットルレバーを前進全速に入れていました.大あわてでキャビンを飛び出してレバーを戻し「キミもやりたいのか〜」---いやぁ〜幼稚園児のガキもやってくれるもんデス.
二週間ぶりの眠りから覚めたとたん,"岸に向かってフルスロットル突っ込め〜"の指令を受けた美州もさぞびっくりしたことでしょう.
またこの頃,三人でテンダーから上陸していると,岸壁で見ていたおじいさんがニコニコ寄ってきて,「なかなか良く鍛えられてるナ〜わしも海軍でやらされたもんだ」,「ハァ〜そうですか」---ちょっと違うって思うんですけど〜